高田郁さんの澪つくしを読んでから、すっかり江戸ものにハマっている今日この頃です(笑)高田郁さんの本は、ブックオフの100円コーナーにはあまりないので、今回は今井絵美子さんの本も少し買ってみました。
高田郁著 あきない世傳(せいでん)金と銀の六作目「本流編」七作目「碧流編」
続きを見つけると購入し読むという感じです。まだまだ終わらないらしく、この後八と九も刊行されているようなのです。
商いの基本を忠実に守りながら、創意工夫をこらし、周りの人の助けられながらも商い戦国武将の道を歩き続ける、1人の女性の物語です。
「買うての幸い、売っての幸せ」買った人が、そこで買ってよかったとい思ってくれる商売をすることで、売った側も幸せになれるという創業者からの一環した教えです。
今回は、3人目の夫を亡くした幸(さち)が、江戸で勝負に出る話です。大阪ではすでに五十鈴屋の屋台骨をしっかりさせた後での、江戸進出になります。
「蟻の目」と「鶚(みさご)の目」を持つこと!それが目先のことに流されないためには大切なことだと教えられた幸。
蟻の目とは、身近なものを良く観察する目。鶚の目とは、高いところから俯瞰して物事を見定める目のことです。これは、現代にも通じるところですね。
大阪と江戸、今もだいぶ違いますが、当時はほんとにお互いが外国かというほど、商売の仕方も、人の好みも全然違っていました。
それに驚いたり楽しんだりしながら、少しずつ商いを育てていく様子が描かれています。
人と人の繋がりがとっても温かくて、まさに「絆」を感じるストーリーです。
今井絵美子著「母子燕」「鷺の墓」
今井絵美子さんの本は、今回初めてです。高田郁さんの本を刊行しているのがハルキ文庫さんで、今井絵美子も同じだったので、面白いかもと思ったのです。
どちらもオムニバス的な内容です。1話完結型なので、読みやすい本です。母子燕は、父親の代で家老の出世争いに巻き込まれ、濡れ衣を着せられる形で浪人となってしまった、母と息子の物語です。
武士の妻であるというプライドを捨てられない母と、武士には拘っていない息子の、チョッと切ない物語です。
息子は出入師という稼業を母親には内緒で行っており、それが結構実入りがあったりして・・・しかも、長身で剣の腕も素晴らしく、ハンサムという設定です。
もう、これだけで惚れてまうやろ!という感じですよね(笑)女性に追い掛け回されつつ、母の仕官への思いを少しだけ汲むふりをしつつの日常を面白おかしく描いています。
鷺の墓は、やはり過去の事件が元で格下げになってしまった保坂家の祖母と孫の話です。この本の背景には、この保坂家の因縁がついて回る形となっています。
保坂家の孫の名は市之進。彼が生まれてすぐ、父も母も死んだと教えられてきました。ところが、母は生きていたのです。
市之進の母は、見目麗しい女性だったようで、それが殿様の目に留まってしまったのです。ぜひ側室にと請われて、母は夫や息子のためを思い、お城の上がりました。
しかし、夫である市之進の父は、それを不服とし、切腹して死んでしまったのです。これを、反逆とはせず、格下げとしたのは、これらの経緯を考慮してのことでしょう。
母が生きていたことを知った市之進が、初めて恋をした女性も、母と似たような境遇にある人でした。
藩政の勢力争いに翻弄されつつも、誇り高く懸命に生きていく下級武士の物語です。